ラジオは情報収集や娯楽として私たちの日常に溶け込んでいます。しかし、長時間の聴取が脳に疲労をもたらす可能性やそのメカニズムについて、あまり知られていないかもしれません。本記事では、ラジオの脳への影響や脳疲労との相関関係を深掘りし、ラジオを効果的に活用する方法をご紹介します。
この記事を要約すると・・・
ラジオは、聴覚と想像力を刺激し、記憶力や注意力を向上させる効果がある一方、長時間の聴取は脳疲労を引き起こす可能性があります。適切な聴取時間(30分~1時間)を守り、リラックスできる番組を選ぶことが重要です。また、研究ではラジオが認知症予防に役立つことも示されています。日常生活での活用には、朝のニュースや移動中の音楽番組など、状況に応じた工夫が効果的です。他メディアとの違いを理解し、バランスの取れた利用を心がけましょう。
ラジオは、音声だけで情報を伝える媒体であるため、リスナーは自ら想像力を働かせる必要があります。このプロセスが脳を活性化させる一因です。特に、記憶力や注意力が向上するといわれています。音声メディアは映像と異なり、視覚的な情報がないため、脳の聴覚野や想像力を司る領域が刺激されるのです。
ラジオは言葉を通じて情報を伝えるため、リスナーは聴覚をフルに活用します。これが結果的に、聴覚能力や音声情報の記憶力を高める効果をもたらします。学習目的で使用する場合、語学や知識の吸収にも効果的です。
一方で、長時間ラジオを聴くことが脳に負担をかける可能性もあります。特に、情報量が多いニュース番組や討論番組は、リスナーに集中力を要求します。このような状態が長時間続くと、脳疲労につながる恐れがあります。
ラジオを聞きながら他の作業をする「ながら聴き」は、便利な反面、注意が分散されることによる疲労を引き起こすことがあります。脳は複数のタスクを同時に処理する際に負荷がかかりやすく、これが脳疲労の原因となるのです。
ラジオを楽しむためには、適度な聴取時間を意識することが大切です。例えば、1回あたり30分~1時間程度の聴取にとどめることで、脳に過度な負担をかけずに済みます。
心地よい音楽やリラックスできるトーンの語り口が特徴の番組を選ぶことで、ストレス軽減効果が期待できます。特に、就寝前や休憩中に適した内容の番組を聴取すると、リラックスを促進します。
ラジオは視覚を必要としないため、他の作業をしながら利用できる点でスマートフォンやテレビとは異なります。そのため、目の疲れを軽減できる一方で、聴覚への負担が集中するという特徴があります。
ラジオのメリットは、ながら聴きが可能であることや、耳だけで情報を取得できる手軽さです。しかし、長時間の使用は脳疲労を引き起こす可能性があるため、バランスの取れた利用が必要です。
脳科学者は、ラジオが脳の聴覚野を活性化し、想像力を鍛えるツールとして有効であると評価しています。しかし、疲労が蓄積しないようにするためには、適切な利用が重要であると指摘しています。
近年の研究では、ラジオが短期間でストレス軽減効果をもたらすことが明らかになっています。一方で、集中力を要する番組の長時間視聴が脳疲労に繋がるリスクも指摘されています。
日常生活にラジオを取り入れる際には、タイミングを意識することが大切です。朝のニュースを聴く、移動中に音楽番組を楽しむなど、状況に応じた聴取が最適です。
ラジオと静かな時間を交互に取り入れることで、脳を休めることができます。また、リラックスできる音楽を選ぶことで、脳のリフレッシュ効果を高められるでしょう。
株式会社脳の学校の代表を務める脳科学者・加藤俊徳医師が監修した実証実験において、「ラジオを聴き続けると、脳が成長する」ということがわかりました。
こちらの実証実験は、大学生8名に1ヵ月間・毎日2時間以上ラジオを聴いてもらい、ラジオが脳にどのような影響を与えるのかを確認したもの。聴く番組や時間帯等は指定がないため、被験者が自由に選べます。実験では、ラジオを聴く前後でMRI脳画像を撮り、脳にどのような変化があったかを比較・分析しました。
実験の結果、ラジオ聴取によって変化がみられたのは、聴覚系・理解系・記憶系の3つの脳番地。なお、脳番地とは、加藤医師が提唱する脳の分類法。思考系・感情系・伝達系・運動系・聴覚系・視覚系・理解系・記憶系の8系統に分かれています。
右記憶系脳番地においては、被験者8名全員に成長が認められ、活性エリアが最大2.4倍になったというデータが得られました。
また、8名中4名は聴覚系脳番地の活性エリアが最大2倍に拡大。聴覚系脳番地では、耳から入った音声情報を処理します。そして、情報を理解するために理解系脳番地へアクセス。同時に、記憶系脳番地にもアクセスし、言語やイメージを記憶します。
ラジオを聴くことによって、理解系や記憶系などの脳番地を活性化させることができます。また、思考系や感情系、伝達系などの脳番地にも良い影響をもたらすことがわかっています。ラジオを継続的に聴取することで、脳の成長が期待できるでしょう。
脳の成長が期待できるラジオ聴取は、認知症の予防としても役立ちます。ラジオからは音声情報しか得られませんが、脳が情報を補おうとすることで脳全体が活発に働くのです。
普段、テレビで情報を得ている際、音声と映像の情報を得ています。しかし、ラジオには映像がないため、脳が場面を想像しながら情報を処理するそうです。そして、場面想像は認知症で委縮しやすい「前頭前野」を活発にしてくれます。
ラジオを聴くことは脳に良い影響を与えますが、ながらラジオはおすすめできません。たとえば、「ラジオを聴きながら勉強をする」「ラジオを聴きながらスマートフォンをみる」といった2つ以上のことを同時に行う行為は、マルチタスクの状態。
マルチタスクの状態は脳に負担を与え、脳疲労を起こしてしまいます。人間の脳はシングルタスクに向いているため、ながらラジオは避け、ラジオに集中するようにしましょう。